近年、非正規雇用者を正規用する企業が増えてきました。派遣社員を正社員化するとどのようなメリットがあるのでしょうか?
最近、雇用関係ニュースの大きなものと言うと、派遣社員・契約社員の非正規雇用者の正社員化があります。特に東京ディズニーリゾートを運営するオリエンタルランドが、会社で仕事をしている非正規雇用者が正規雇用を希望した場合、正社員として雇用するという施策を行うということで話題になりました。対象となる非正規雇用者は821人ほどといわれています。2016年4月1日付で正社員への登用が行われ、2016年度の人件費は10数億円増大する見込みです。このような動きが見られるのは、深刻な人手不足や、企業がより良い人材を囲みたいと考えるようになったからでしょう。
ここでは、派遣社員などの非正規雇用者を正社員化する場合のメリットについて見ていきましょう。 人材を獲得したり、維持したりするためにいい影響があることがメリットです。安定した正社員という立場のメリットによって、優れた人材を獲得できるようになります。派遣社員などの非正規雇用者の場合は、雇用しやすく、仕事が無くなった場合には辞めてもらいやすいものです。しかしながら、一方すぐに辞められるというようなリスクもあります。特に景気が良くなった場合には、非正規雇用者の人材を確保することが難しくなってきます。また、派遣切りなどを行うと企業のイメージが悪くなる場合がありますが、非正規雇用者を正社員化するとそのイメージを払拭できる可能性があります。ディズニーも派遣切りで話題になったことから、正社員化を考えるようになったのではないでしょうか。
また、指揮命令系統が非正規雇用者の場合よりも明確になるため、仕事もやりやすくなるというメリットもあります。さらに、雇用スタイルを同じにすることによって、一体感が組織において高くなってくることも期待されます。
しかしながら、実際に期待されたように、人材を確保することに対して効果があるかは、少し疑問もあります。非正規雇用者はもともと、自由な雇用スタイルを希望しています。また、基本的に非正規雇用者の正社員化が推し進められている業界は、人材を確保するために苦しんでいます。新しい人材を確保するというよりは、むしろ現状の正社員を維持するために効果があると言えるかも知れません。 もちろん、単に正社員化するといいということではありません。正社員化を検討する場合は、背景なども考慮しながら、どのような効果が自社にあるのか検討する必要があるでしょう。